4つの視点で解説する医師の求人事情!数倍もの年収格差の実態

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医師の求人と働き方

医師の「求人情報」と言うのを目にしたことはありますか?
ニュースでもよく聞かれるように、一般的な会社員の求人では一昔前とは違う働き方を募集していたり、勤める会社や地域によって年収が違うことが知られています。
同じく、医師も職業の一つであり、勤める病院や地域によって年収が差があり、他の職業と同様に「働き方の多様化」が進んでいます。現代の医師に合わせて、そこにはさまざまな形の求人が存在しているのです。
医師の求人について

  • 医師の市場を考える4つの視点
  • 実際の求人内容

の視点からご説明します。

医師の市場を考える

一般的に、求人について調べたりするときには、自分の職業のニーズや年齢などから自分の「市場価値」を予想して希望の年収や会社を選ぶことが多くなっています。医師も同様に、年齢や地域などで求人数や内容が異なる「医師の市場」があります。医師の市場とはどのようになっているのか、4つの視点から見てみましょう。

年齢別の収入

厚生労働省の調査した医師の平均年齢と平均月収、平均年間賞与から年収を算出すると、次のようになります。
⇒(参考)厚生労働省 平成27年賃金構造基本統計調査
■平均年齢:40.0歳
■平均月収84.84万円 × 12月 + 平均年間賞与(およびその他特別給与)80.16万円 = 平均年収1097.76円
医師同様に高年収のイメージがある職業の平均年収を算出すると、大学教授は1087.46万円、
システム・エンジニアは592.33万円となっています。
このように、全体で見ると他の職種と比べて高いのですが、医師は若い時は給与が低く、ある時期からぐんと収入が増えるため
日ごろ一般に接している「お医者さん」の平均はもっと高くなります。例えば、医大・医学部は6年生のため、卒業後おおよそ1年目である24歳の男性の医師の平均月収は38.66万円で、年間賞与は0円です。しかし、35~39歳の男性の医師の平均月収は116.10万円と、100万円を超えています。
■24歳の男性の医師
平均月収38.66万円 × 12月 + 平均年間賞与(およびその他特別給与)0円 = 平均年収463.92万円
■35~39歳の男性の医師
平均月収116.10万円 × 12月 + 平均年間賞与(およびその他特別給与)96.99円 = 平均年収1490.19万円
医師は、大学の在学期間や研修期間が長く、その間にかかる奨学金等の返済の負担も大きいため、若いときは年収の額面以上に経済的に厳しいことがあります。しかし、専門職であることからキャリアを収入に比較的反映させやすい職業と言われます。

地域で変わる需給関係

通常の職業は、都会の方が人が多く、仕事も多いため給与も高くなっています。医師には一概にこれが当てはまらず、関東圏の方がすなわち収入が高いわけではありません。もちろん、需給関係が求人数や給与に大きく影響していますが、その需給が通常の職業と違って、見えにくくなっているのです。医師の求人数と密接に関係する需給関係の目安として人口10万人あたりの医療施設に従事する医師数は次のようになっています。(2014年12月 厚生労働調査)
■全国平均:236.6人
■人口10万人あたりの医療施設に従事する医師数が「多い」都道府県
1位 京都府 307.9人
2位 東京都 304.5人
3位 徳島県 303.3人
■人口10万人あたりの医療施設に従事する医師数が「少ない」都道府県
1位 埼玉県 152.8人
2位 茨城県 169.6人
3位 千葉県 182.9人
意外にも関東圏である3県が医師数の少なさでワーストであるのは、
人口=母数が多いため相対的に、医師が少ないことも理由と挙げられています。
しかし、地域別の医師の年収は、また違っています。
■平均年収が「高い」都道府県・・()内は平均年齢
1位 岩手県  1851.36万円(41.7歳)
2位 鹿児島県 1750.49万円(50.5歳)
3位 長野県  1635.77万円(42.0歳)
■平均年収が「低い」都道府県
1位 大阪府 815.77万円(35.1歳)
2位 山形県 820.30万円(34.2歳)
3位 福岡県 892.59万円(38.2歳)
都会の方が医大含む教育機関・研究機関が多いことからも、研修医を受け入れる病院も多く、若い医師が集まりやすいので供給が多くなります。医大・医学部数全国トップである東京都の平均年収は902.21万円(38.7歳)と、全国平均よりも低い平均年収および平均年齢になっています。このことから、都会の方が研究機関が充実しており、若い人も多く、環境は良いかもしれないが医師が足りている=求人数が少ない可能性があります。また、医師が少ない地域の方が、忙しいかもしれないが高給の求人が多い可能性があります。ただし、東京都と言えど、銀座エリアと23区外が大きく異なるように、一概に言えませんが医師求人の市場を考える上で、地域による影響は大きいと言えます。

診療科目の違い

医師と一口に違いはあっても、専門によって事情は大きく異なります。
各診療科に勤める医師数の数は次の通りです。
■診療科別の医師数・・()内は全体の割合
1位 (一般)内科 61,317人(20.7%)
2位 整形外科   20,996人(7.1%)
3位 小児科    16,758人(5.6%)
医師免許は、全ての診療科目で共通となっており、医師は研修の過程で希望の診療科について学び、専門となるのです。風邪っぽいなと感じた時に利用するような、ニーズの高い診療科目である内科は、従事する医師が多く、求人も多くなっています。夜間対応が多く、またトラブルの際は訴訟リスクが高いため、最近は産婦人科と小児科は医師から敬遠されがちと言われています。そのため、高給の求人が多くなっています。逆に、比較的ニーズが少ない耳鼻科や皮膚科などの科目では求人が少なくなります。また、経営面からすると、内科・外科に多い検査や手術などは診療点数が高いため、収益が高くなるのですが、耳鼻科、皮膚科では手術等は発生しにくいため収益面からやりたがらない病院もあります。そのように、専門とする診療科目のキャリアによっても、大きく求人の有無や内容が異なります。

求人数のリミット

会社勤めの場合は、入社しても合わなければ辞めて、すぐ次の会社を候補として探すことは容易ですが、医師の場合は難しくなっています。全国に法人企業は410万社ありますが、その中でも全国1位である東京都には約84万社あります。(2016年2月 東洋経済新報社調査)しかし、規模別に、患者用の床数0~19床のとなる一般診療所は約10万件、20床以上となる病院の数は、8,480件です。(2015年10月現在 医療施設(動態)調査・病院報告の概況 厚生労働省)
つまり母数が違う以上、医師の求人は会社勤めの職種に比べて、圧倒的に選択できる数が少なくなるのです。さらに、医師会による地域等のネットワークが確立されていることが多くなっています。そのため、何かトラブルを起こして勤めていた病院を辞めた場合、その地域の全ての病院の求人は応募しても受かることができなくなることがあります。また、良い条件の病院があったとしても、すでに定員数が埋まっており、めったに求人を行わないことも多くなっています。そのように、次に移るべく病院が見つかりにくいことから、不満があっても我慢している医師も多く存在しています。入職・離職のサイクルが活発ではないことも、医師の市場が見えにくい大きな要因となっています。医師の場合でも、希望の年収で自分の専門キャリアを生かした、近場の求人を探すとなると難しいわけです。

実際の求人はどんなもの?

実際の医師の求人では、インターネット上の求人サイトの利用や、エージェントやコンサルタントと呼ばれる、人事のプロフェッショナルサービスを介した求人が多くなります。これまでは、医師は学生時代から勉強の量が多く、医師免許を取ってからも研修が何年もあるため、キャリアを考えるきっかけが生まれにくく、現在の病院を移ることや、働き方について考えることが少なかったと言われています。しかし、最近ではインターネットの普及により、医師自身で求人を調べることが多くなっており、その働き方も多様になっています。その多様化が進む背景には、医師側のニーズだけでなく、求人を行う病院側の事情も大きく関係しています。
医療法に基づき、厚生労働省では、医師の配置標準が定めているため、病床に応じて必要な医師数の確保に悩んでいる病院が多くなっています。この配置標準とは、例えば一般病床(精神病床、結核病床、感染症病床、療養病床以外の病床)の入院16あたり1人の医師が必要=「16:1」としています。また、外来の場合は40:1(耳鼻咽喉科、眼科は80:1)としており、感染症病床等の病床区分の種類によっても大きく異なります。配置標準数は医師数だけでなく、看護師などの数も定めており、「標準」と言えど下回る場合は医療法に反しています。
厚生労働省では、各病院が標準に適合しているか立入検査を行っています。2013年度の立入検査では各都道府県から95.0%の病院と高い検査実施率の中、全国平均における医師の配置標準の適合率は94.5%となっています。地域別に見る病院の適合率は、関東は97%、近畿は98.5%と高くなっていますが、北海道・東北は87.9%、北陸・甲信越は91.1%、四国は92.2%と平均を下回っています。
このように、医師が不足しがちな病院では、多様な働き方をしてくれる非常勤を増やすことで他の医師の休診日を埋めて、何とか配置標準まで医師数を補おうとしたり、「新幹線の通勤費全額支給」など好条件の求人を出すケースが多く見られます。

常勤

健康保険法では、常勤とは週4日以上、1週間で32時間以上の勤務する形態と定められています。経験年数によって給与に大きく触れ幅がありますが、多い求人では

  • 経験5年以上
  • 週4~5日勤務
  • 年収1,500万円~

となっています。
また、割合としては少なくなりますが、年収2,000万円以上の求人も決して珍しいものではありません。しかし、多くの常勤の医師は、夜間・深夜の勤務や休日出勤に応じるよう定められています。そのため、給与が高いほど、忙しくハードな職場である可能性が非常に高くなっています。
メリットとしては、福利厚生、社会保障も病院が行ってくれる他、昇進することで役職手当などがつきます。また、病院側で最新の感染症情報などの詳細をアナウンスしてくれたりと、自分だけでは得られにくい情報も手間をかけずに入手できます。

非常勤

特定の曜日だけの募集が主となっていますが、第2土曜のみなど毎月の決まった日の募集もあります。週に1日のみと言った自由な働き方が可能なため、子育て中の女性医師や、今まで勤めていた病院がハードだったため、ゆとりのある生活を求めて非常勤で働く方が多くいます。また、若手の医師が経験を積む目的も兼ねて、常勤とかけもちで働く場合もあります。
このように、自由な働き方でメリットが多いようにも感じられますが、確定申告を自分で行う必要があり、年金や健康保険も管理することとなります。また、人脈作りや情報ネットワークを作ることも、特定の病院に属する常勤医師より難しいと言われています。
給与は、おおよそ時給1万円程度が一般的です。さらに、非常勤の中にも、主に次のような勤務体系に分かれています。

①日勤
勤務時間イメージ 9:00-13:00(午前診療のみ)
給与/回      5万~8万

一般的にイメージのつきやすい働き方です。午前診療のみなど、外来診療において常勤医師が休診の時間の穴を埋めるために募集される求人が多くなっています。
②夜間診療
勤務時間イメージ 18:00-21:00
給与/回      3万~5万
夜間診療を行っている病院自体が少ないため、求人もあまり見られません。短時間の勤務となるため、子育て中や他の仕事とのかけもちしているなど、忙しい方に向いています。

③当直

勤務時間イメージ 17:00-翌日7:00(宿直)
給与/回      4万~6万
当直とは診療時間外の勤務となり、急患への対応等を行います。その内、診療日でない日(土日等)の日中の勤務を「日直」、
夜間の勤務が「宿直」と呼ばれています。「当直」と言えばすなわち「宿直」を指すことが一般的です。求人数も、「宿直」の方が多くなっています。当直中に何事も起こらなければ、特に対応することはありませんが、緊急の際には責任を持った対応が求められます。日勤と比較して時給は安くなっていますが常に診療を行う日勤と比べて、体力的に余裕を持つことができます。

④日当直

勤務時間イメージ 8:30-翌日8:30
給与/回      12万~15万
当直に合わせて、外来対応と当直を続けて行う勤務体系です。日曜を休診日にしている病院では、土曜8:30~月曜の8:30までなど、休診日をまたいだ日当直の求人も多くなっています。1回あたりの給与は15万~18万と高額の傾向ですが、拘束時間が長いためハードと言われています。

スポット

非常勤の一種ではありますが、特定の曜日に毎週勤務するのではなく「○月○日の1日だけ」と言った単発の働き方です。何らかの都合でその日だけ医師がいなくなる日や、健康診断などで一時的に業務が多くなり、普段より多くの医師が必要とされる時に募集されます。こちらも、子育て中など忙しい方や、経験を積むことを目的に選ぶことが多い働き方です。きわめて自由度の高い人気の働き方のため、求人があってもすぐ埋まってしまいます。勤務体系は非常勤と同様に、日勤・夜間診療・当直などがあります。
給与も、非常勤とほぼ変わりません。

まとめ

ここまでについてまとめると、次のようになります。

  • 医師の平均年収は高いが、年齢・地域・診療科目によって大きく違う。
  • さらに、全国の病院数は会社数よりも少ないので希望の求人を見つけるのは大変!
  • 最近は、医師・病院の両方のニーズに合わせて働き方が多様化。
  • 実際の求人には、常勤・非常勤・スポットに大きく分けられる。

その他の色々な職業と違ったところはありますが、似ているところも大きくあるかと思われます。医療インフラを支える医師の働き方は時代に合わせて今後も多様化されていくでしょう。未だ多くの人がイメージするような、一人の医師が研修から定年まで、ずっと一つの病院で過ごしていく働き方だけではなくなっているのです。
また、医師にとって、自分に適した継続的な働き方を考えるきっかけとして、医師の求人情報を調べてみることは、これからの未来を描きやすくなります。

 


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