医師の診断書を法的に見る!-診断書の規制から課題まで-

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医師の診断書を法的に見ると、診断書にはとんでもない規制が

1.【診断書はただの紙ではありません!】

入社時の健康診断、事故で怪我にあった時、保険金申請時・・・・医師の診断書が求められる場面は人生において何度もあると思われます。医師の診断書は、主にその時点での健康状態を示す紙ではありますが、そこには法規制と現状を取り巻く課題が隠れています。安易な診断書の交付により、後々にトラブルに巻き込まれる医師も年々増えていると言われています。 そこで、診断書について法的な観点から ・診断書の概要 ・書式や押印の規制について ・交付義務と交付が断られるケース ・診断書をめぐる現状課題 について、ご説明いたします。

2.【診断書の概要について】

診断書とは、基本的に患者の傷病、その治癒の状況や健康状態等について、医師によりその事実を証明する書類となっています。一般的に、患者が診断書を医師に交付を依頼した場合、金額は2,000円~10,000円、期間は2週間程度かかります。

3.【診断書の様式について】

様式は特に定められていませんが、死亡診断書のみは記載すべき事項が医師施行規則20条で定められています。また、死亡診断書には、記名押印または署名が必要となっています。

■死亡診断書の記載事項(法的に定められている)

・死亡者の氏名・生年月日、性別 ・死亡の年月日時分 ・死亡場所 ・死亡原因 ・死因の種類  等 また、死亡診断書以外の診断書には、法的に記載すべき事項は定められていないものの、一般的には下記のような事項が記載されます。

■死亡診断書以外の診断書の記載事項(法的に定められていない)

・患者の情報(氏名・生年月日・年齢・住所等) ・傷病の情報(病名・症状・治療の期間等) ・問診結果 ・検査結果 ・その他目的に応じて異なる また、主に次のような目的別の診断書があります。 ・就職や入学の際に会社や学校へ提出する「健康診断書」 ⇒現在の健康状態について記載 ・病気や事故を理由とした休暇の際に提出する「診断書」 ⇒現在就労が不可能な旨、治癒見込み時期等の記載 ・交通事故の被害者になった際に警察へ提出する「交通事故診断書」 ⇒全治○ヶ月等、怪我の状態を明らかにするための情報を記載 ・交通事故の障害残った際に後遺症の認定を受け、慰謝料等を請求するための「後遺障害診断書」 ⇒受傷日時、症状固定日、入院・通院期間等、障害の等級を決めるための情報を記載 ・生命保険会社への保険金申請のための『診断書』 ⇒怪我の部位、入院・通院期間、実施した手術内容、その他の病気への影響等、 保険会社の支払に必要事項を記載 ・海外留学や渡航ビザの発行に必要な「英文診断書」 ⇒提出先となる国により異なるルールに合わせた情報を記載 死亡診断書以外の診断書は、基本的に、診断書の依頼を行う患者自体が必要なのではなく、その診断書の提出先である、患者の勤める会社や学校、保険会社などが必要としています。そのため、患者経由でも必要な情報を記載した診断書が入手できるよう、診断書を必要とする各所では、フォーマットを用意して患者に持たせる場合があります。特に、保険会社の求める診断書は保険金の支払いの審査に必要なため、記載量の多い、詳細で複雑なフォーマットを用意して医師に書いてもらうケースが多くなっています。なお、一般的な診断書については、その目的に応じた項目のフォーマットやデータベース化できる支援システム・管理ソフトが様々な民間会社から提供されています。現在では、ほぼ全ての病院・医師がシステムを利用して診断書作成にあたっていると言われています。

4.【押印について】

法的には、死亡診断書以外の診断書には、医師の署名や押印は必須ではありません。押印が必要とされない理由として、法的には重要な権利や義務が生じる書類には押印が必要となっており、その時点での健康状態を記載する診断書では権利や義務が発生しがたいと言えるためです。逆に、死亡診断書では一人の人間が亡くなることで、何らかの義務や権利が消滅したり移動する可能性があるため、署名・押印が必要となるわけです。しかし、偽造の防止、内容の信頼性の観点から、多くは提出先から求められるため医師の署名・押印および病院の社印が押印されることが一般的です。また、会社や学校などで休暇を求める方が療養が必要な旨の診断書を偽造する疑いを持たれる場合もあるため、署名や押印に不審な点がある場合は診断書を受領した会社から病院へ問い合わせることがあります。

5.【法的な交付義務について】

診察をした医師は、正当な理由がない限り拒むことはできないと医師法19条で規制されています。医師法で規制されているものの、交付しないことによる罰則規定は定められていません。診断書は医師にしか交付できませんが、看護師とは別に「医療事務作業補助者」が、医師の指示のもとに代行して作成することは可能となっています。2014年度の診療報酬改定により、医療事務作業補助者の配置体制の評価がそれまでより更に診療報酬に加算されるようになりました。これは、勤務医不足に加え、保険金の支払等で診断書に求められる様式の複雑化で、重くなってきた医師の負担を軽減するためです。また、診断書作成のためのシステムが発達してきたことで作成も以前より容易となりました。そのため、医師の指示の元に、実際に診断書を作成しているのは医療事務作業補助者がほとんどです。

6.【交付されない場合について】

医師法19条により、求められた場合には、医師は診断書を作成し、交付する義務がありますが正当な理由があれば断ることが可能です。受診した本人以外の第三者が、本人の承諾なしに診断書を直接求めてきた場合はプライバシーの守秘義務から断られます。しかし、本人が医師へ交付を求めても交付されないケースがあります。多いケースでは、下記の場合に「正当な理由」として断られることがあります。

6-1.因果関係など事実を証明できない場合

多いケースでは、事件・事故とその怪我との因果関係について診断書を書いてもらうよう医師に求めた場合に拒否されることがあります。例えば、誰かに暴力を受けたことによる損害を賠償してもらうため「○○から暴力を受けたため骨折した」と言うような自分に有利な内容を証明する診断書を求めた場合、医師は骨折した事実は診断できても「○○から暴力を受けた」事実は証明できません。証明できないことを診断した場合は、文書作成偽造罪(刑法160条)として、刑法に触れるので医師は交付を断ることとなります。裁判に使用するための診断書の場合でも、怪我や病気の発生との因果関係を示すことは、弁護士の仕事となり、医師の仕事ではありません。他にも、医師が患者の要求のままに診断書を交付するリスクとして、診断書を不当に利用して保険金を得た際の保険金詐欺の共犯罪(刑法60条等)として三年以下の禁錮または30万円以下の罰金が科せられる場合や、トラブルがあった際には、医師としての品格を損ねる行為として、医業の停止などの処分対象となる可能性があります。(医師法7条)そのように、医師は医学的判断により診断書を作成するため、証明できない事実を患者の言葉のままに内容を記載することは難しいのです。

6-2.遺言能力に関する診断書

民法963条で、遺言者は遺言をする時にその能力を有しなければならないと規定しています。遺言書の作成に、遺言能力に関する診断書は必須ではありませんが 遺言能力のある・なしでその遺言書が有効か無効かが変わってきます。遺言能力とは「遺言者が遺言の法律効果を正しく理解し判断する能力」とされており 医師の医学的判断とは全く別の観点と言われています。しかし、「自分の書いた遺言書を有効にさせたいので遺言能力がある旨の診断書を作成してほしい」や、 「家族の遺言書に納得がいかないので、認知症などで遺言能力を欠している旨の診断書を作成してほしい」などその時点での健康状態を診断することとは別の思惑を目的としている場合が多くあります。また、後々になって遺言当時の認知症がどの程度か、それによって遺言書の効果を決める裁判が行われたケースなど近年は医師の診断書をめぐっての訴訟も増加しています。そのため、医師は、トラブルに巻き込まれる可能性があると判断した場合に診断書の交付を断ることがあります。

6-3.診察ができない場合

診察ができない場合は、当然、医学的判断ができないため診断書を書くことができません。基本的に、医師法19条の応召義務と呼ばれる、正当な理由がない限りは診察治療の求めに応じなくてはならない義務があります。しかし、主に下記の状態は、診察拒否される場合があるため伴い、診断書の交付も拒否されます。 ・医師が病気等により診察不可能な状態 ・患者を正常に診療ができない状態(専門外の診察や患者が暴れたりする等) 応召義務は医師の倫理上強い意味を持ち、治療費未払や暴力でもすなわち診察拒否してはいけないと定められていますが、最近ではモンスターペイシェントと呼ばれる過剰な対応を求める患者が増えていることから、程度により治療費未払や暴力も「診察拒否の正当な理由」として司法で認められる判決が増えてきています。いずれも、医師は患者の過剰な要求に答えられないと言った観点からモンスターペイシェントの問題を語る際に、診察拒否と診断書の交付拒否は、よく論点にあがると言われています。

6-4.修正した診断書の再交付

一度診断書が交付され、その内容に患者が不満があったとしても原則的に修正の上の再交付は断られるケースがほとんどです。例えば、けがをしたので会社を休むため診断書を交付してもらったところ、療養期間2週間と書かれたが、自分は3週間休みたいのでそのように診断書を修正してほしいと求めても断られます。これは、医師は判断のもとに診断書を作成しているため法的に規制されてはいないものの、信用問題にかかわるので致命的な誤記等がない限りは、再交付は受付けられないケースがほとんどです。このように、患者が療養期間をもっと希望するケースでは、2週間療養後に再度診察を受け、さらに1週間の療養が必要か医師の判断をあおぐこととなります。なお、日付間違いなど簡単な誤記は訂正印により修正されるケースが多く聞かれます。

7.【診断書をめぐる現状課題】

7-1.うつ病の診断書の乱発について

現代では、激務によりうつ病を発生し、療養のため医師に診断書を交付してもらい休職するケースが増えてきています。本来では、症状を充分に診察した上で投薬等治療を行い、快復に必要な療養期間を示した診断書が交付されるべきとなっています。しかし、「療養期間として2週間の休職すべき」と言った内容に疑問を持たざるえない診断書が乱発する傾向が出てきています。一般的に、2週間程度では、投薬治療の効果もまだ充分に発揮できる期間とは言えないのです。このことから、休みたいと患者が強く求めるため、言われるがままに診断書を交付する医師が増えてきている可能性があるのです。厚生労働省の調査上、うつ病などの精神疾患にかかる患者数は年々増えてきています。増加原因には、都市部のメンタルヘルスクリニックの増加や精神疾患による通院が普及してきたことにより、今までは隠れていた患者数が表面化してきたこともあります。そのため、どこからかが適正な診断書かは判断は難しいものの、診断書交付により売上を伸ばしたい医師の思惑もあると考えられるため問題とされてきています。

7-2.高齢者の免許更新需要の診断書交付の増加

2017年3月12日から施行される道路交通法の改正により、信号無視等一定の違反行為をした場合、認知機能検査を受けることとなり、その結果「認知症のおそれ」があると判定される75歳以上の運転者には、主治医の診断書の提出もしくは公安委員会指定の医師による臨時適正検査の受検が義務付けられることなりました。警視庁では、年間約5万人が医師の診断を受けると予想されています。伴い、急な診断書交付の増加により医療現場が混乱する可能性が高くなっています。また、交通の便が悪く、車が必須とされる地域では診断による免許の失効が死活問題となる高齢者も多くいると言われています。そのため、日本医師会では警視庁とも協議し、対応について認知症診断書マニュアルを策定するよう勧めています。

7-3.オンラインによる診断書交付

2015年8月10日に、厚生労働省から各都道府県宛の通知で、「遠隔診療」と呼ばれる、いわゆるインターネットを介した診療の取扱いについて発表され、事実上の遠隔診療解禁と言われました。通知では、原則的に対面診療ありきではあるものの、離島など医師の少なく、通院が困難である場合や、長期間の継続的な診療を受けていて安定的な症状の患者に対して、情報通信機器の使用の説明等十分な環境の元に遠隔診療を行うことができるのです。⇒(参照)日本医師会 遠隔医療遠隔診療は、現代的な新しいサービスとして民間会社でもシステムを提供する等注目を集めていました。さらに、電子印鑑と組み合わせ、オンライン上での診断書発行も現実性を帯びているように見えていました。しかし、対面診療なしで医療サービスを提供しようとしている事業者が現れてきたことを受けて2016年3月18日に厚生労働省から各都道府県宛の通知により、遠隔診療のみで対面診察がない場合は「自ら診察しないで治療している」として医師法違反にあたるとされました。また、直接診療しないことによる問題発生のリスクや診療点数の低さから医師自身はあまり積極的ではなかったと言われていますが、インターネットの普及とともに、患者にとって利便性が非常に高い遠隔診療は米国で注目を浴びています。そのため、これからの患者のニーズとルール作りの整備により、オンラインによる診断書の交付は可能性として近い将来、充分ありえるのです。

8.【まとめ】

ここまでをまとめると、 ・診断書には、法的に記載事項が定められる死亡診断書と、それ以外の目的別診断書がある ・一般的な診断書には押印や記載事項は定められていない ・診断書は交付義務があるが、正当な理由があれば断られるケースがある ・現状課題として、うつ病の診断書の乱発、免許のため認知症の診断書増加や遠隔診療対応がある このように、一般的に患者が何かしらの証明のために必要とする診断書は医師にとってリスクになりえる可能性があります。基本的に、患者への交付義務が発生する診断書は、現状の課題やリスクを鑑みた上で適切に交付することで今後のトラブルを未然に防ぐことが可能となっています。また、患者は、診断書の目的を医師に伝えることで、希望に沿った診断書を交付してもらうことができます。医師は、トラブルや思わぬ医師法違反を避けるため充分に患者とコミュニケーションを行った上で慎重に診断書を交付することが重要と言えるでしょう。

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