国境なき医師団が日本の医師に突き付ける危険と聖なる選択

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全世界から敬意を集める国境なき医師団の聖なる姿

国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres=MSF)という言葉がふっと頭をよぎることがあるでしょう。エボラ出血熱でその存在が大きく取り上げられました。テレビやネットに流れる姿を見て、国境なき医師団にあこがれた方は多く、約4万人の医療関係者が参加しています。

しかし日本の医師にとっては医師生命を脅かす危険があることを正しく認識している人は少ないのが実態です。ここで言っているのは命の危険ではありません。医師として日本で働けなくなる危険です。ノーベル賞まで受賞した「国境なき医師団」が危険といわれてもピンとこないかもしれません。2017年2月10日アメリカのトランプ大統領が出した入国禁止によって、中東やアフリカから米国への入国ができなくなってしまったことはご存知でしょう。医師も例外ではありません。特に「国境なき医師団」に参加する医師は家族の安全を確保するためにアメリカに移住しているケースが多く、トランプ大統領の入国禁止令によって、家族に会えないという事態が発生したのをご存知でしょうか?

日本の医師が「国境なき医師団」への参加で被る医師生命の危険性

「国境なき医師団」が活動している国は、いうまでもなく

  • 医療が行き渡っていない貧困国
  • 戦乱で大量の負傷者が出ている国

この二通りになります。

共通していることは

  • 極度に衛生面が低下した環境
  •  医療器具や医薬品が欠乏している現場

つまり、ひどい環境で何もない中、治療をしなくてはならないわけです。このような状況が今の日本にあるでしょうか?

日本は先進国の中でも特に衛生面が優れた国であり、通常の生活においても殺菌や抗菌に気を使い、最近では野良の動物はおろか、蚊やハエも見かけない環境です。一方、「国境なき医師団」が活躍している国はどうでしょう。子供の顔には蠅がたかり、飲み水は水たまりや川から汲んできた無数の細菌が繁殖している濁り水です。マラリアや破傷風が蔓延している国で、医師としてのキャリアを積んでしまったら、それは日本では全く通用しないスキルと常識となってしまうのです。

医療技術や医薬品についても同様です。「国境なき医師団」が派遣される地域で使われる医薬品は、日本では第二次世界大戦のころに多く使われた薬品が主力です。医療技術にしても、最先端のカテーテル手術など使われることはありません。メスと注射と抗生物質、そして体力。それが「国境なき医師団」に要求される医師としてのスキルです。

このように半世紀も遅れた医療に浸かっていたらどうなるでしょう? 日本に帰国したとき、知識面においても、技術面においても、もはや医師として役に立たない存在であり、雇ってくれる病院は無いのが現実です。「国境なき医師団」に参加することは、実質的に日本での医師生命を喪失する危険が高いことを認識したうえで、聖なる選択として考えなくてはなりません。テレビや雑誌でもてはやされる一般的な知識で軽はずみに登録するのは危険極まりない行為です。

 

一般的に知られる「国境なき医師団」の情報を比べてみる

「国境なき医師団」について多く語られている一般論を下記にまとめます。もし、あなたがこれだけのことで情熱を燃やしてしまっているのなら、ご説明した危険をよく租借したうえで、聖なる選択に臨むとよいでしょう。

国境なき医師団の活動資金や医師の収入はどこから出ているかご存知でしょうか?いったいどういう人たちが国境なき医師団になるのでしょうか?

実は国境なき医師団は100%が寄付金で成立しているのです。その総額は59億円。その9割が個人から国境なき医師団への寄付だというので驚きます。国境なき医師団の活動費すべてが医療費と言うわけではなく、広報、ソーシャル・ミッション、募金活動、事務経費などがありますから、実際の医療活動費用は40億円弱。そこには交通費や宿泊費が含まれますから、医療行為に掛けられる費用は20億円くらいだと見込まれます。これには医師だけでなく、看護師も含まれますから、医師の費用は5億円も行かないのではないでしょうか。100人医師がいたとして、一人当たり医療費を含めて500万円にも届きません。あくまでボランティアとして割り切れない限り国境なき医師団にはなれません。自分の生活を優先した場合には国境なき医師団はできない選択でしょう。

国境なき医師団の活動先はアフリカなどの後進国が多く、コンゴがダントツで多い状態で、ソマリア、南スーダン、ハイチ、シリアの順となっています。医療以前に、衛生面での問題が多い国々ですね。

また、国境なき医師団には参加の注意書きとして、

 「その任務の危険を認識し国境なき医師団が提供できる以外には自らに対していかなる補償も求めない」

という条文があります。

世界の人の役に立ちたいというボランティア精神が先にあって、その中でたまたま自分は医師として貢献できる、という発想の人でないと国境なき医師団は困難な道だと言わざるを得ません。

もちろん、家族と話し合っておくことは不可欠です。収入の減少は家族に不自由さを与えるだけでなく、異郷の地での慣れない生活を強いることにもなります。自分が納得しているだけではできないのです。家族の賛同と固い決意が必要な道です。

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