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医局員を手中に収める強大な教授の支配力

地方の僻地まで及ぶ教授の支配力

大学病院に勤務する医師は、自分の将来を教授の支配力に握ってしまわれていると言ってもが過言ではないでしょう。支配という言葉はあまり良くない表現ですが、大学病院における教授の力は支配と言って差し支えないほど強大です。

教授の支配力は院内でのローテーションだけでなく、他の病院への医師の派遣など、教授にこちらの希望をつたえる場は用意されるものの、基本的には要望が通ることは比較的少なく、その支配力をもって本意でない職場での勤務を余技されなくなる医師が多いです。しかし、教授の支配力に逆らうことはできません。なぜなら除名という切り札を握られているからです。この最強とも言える人事権を握っているため、教授は医局員を自分がすべて支配していると考えています。

ですから、教授の支配力に従った受動的な異動ではなく、医師からの自発的な行為の場合は、多かれ少なかれ教授にとってみれば支配力を傷つけられる面白くない行動になるわけです。教授はすでに考えていたローテーションに穴が空き、それを埋めるために配下の医局員をどう動かすかということを考え直さなくてはならなくなるうえ、異動先に予定していた医局員の変更とその理由を説明しなくてはなりません。教授としては自分の支配力に汚点が付くわけです。このとき、欠員が出たため、つまり教授の支配力に従わない医局員が出たということを説明せねばらならず、言ってみればマネージメント、支配ができていないという恥をさらすことになります。特に格下の病院へ自分の支配力の欠如を説明するのは、教授にとって屈辱的な話です。

このように、医師が自分で勝手に考えて、十分な根回しもしないで移ってしまうことは、教授の支配力に反する行為であり、非常に危険であることがわかるかと思います。教授の支配力に反して辞め方については、医師の求人会社と相談して安全な辞め方のプランを立てるようにしましょう。多くの医局員を救出してきた医師の求人会社には、教授の支配力に反した形ではない辞め方のノウハウがパターン化されて整備されています。教授の支配は驚くほど広範囲に渡っているということを頭においておくべきでしょう。

医師である以上必ず出身大学があります。しかし医学部のある大学はたった８０しかないのです。つまり医師の出身母体って、８０校しかないわけですから、どこへ行っても先輩医師や後輩医師がおり、大学のしがらみから逃れることは困難です。これは他の学部と違う医師ならではの特殊性です。２０１０年に３つの私立大学があらたに医学部を設置して話題になりましたが、医学部が少ないことに変わりは無く、また増えすぎた場合、弁護士のように医師の就職先が無いという自体が発生しますから、医師にとっては８０校しかないというという状況は既得権が維持される良い面と、しがらみが強いという悪い面がバランスしている状態です。８０校が排出する医師数は年間８千人にも届きません。医師は医学部に入ってからも一人前になるまでさらに１０年かかります。医師はその育成期間からして長い間拘束されるのが現状です。