アメリカと日本の専門分化の比較でわかる新制度導入見送りの影響

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新制度導入見送りでアメリカに追いつけなくなった日本の専門分化

 アメリカと日本における医療の専門分化を比較すると、アメリカの方が遥かに進んでいることは言うまでもない。このような背景の中2016年6月9日、日本専門医機構が2017年に予定されていた専門医の新制度導入を全面見送りとする発表を行った。日経メディカルなどのニュースサイトを見て驚いた方も多いことだろう。1年延期して2018年開始としているが、もともと2015年の予定が学会と日本専門医機構、そして厚生労働省の間で責任の擦り合いとなっている状況で、1年の延期で片が付くとは思えないが、ここでは改めて、現状の比較を述べ、早期導入の必要性を説く。

細分化された専門性の比較

世界における医療の中心はやはりアメリカであり日本ではない。昔、韓国は日本から医学を学んでいたらしいが、昔と比較して現代ではアメリカから医学知識を取り入れている。ヨーロッパやアジアの国々の養成制度を比較すると、それぞれ違いがあるのだが、やはりアメリカがグローバルスタンダートになっている。医療の世界に世界ランキングは存在しないが、間違いなくアメリカが世界ランキングトップであろう。日本も専門分化されたアメリカの医療技術を積極的に取り込んでいる。これは医療レベルを比較すれば当然の結果だ。

アメリカでの育成制度と比較すると、日本よりはるかに分業化・効率化・専門分化が進んでいる。根底に流れるのは、日本にはないアメリカの徹底した合理主義だ。

国家試験にしても、1回で終わってしまう日本と違い、アメリカの国家試験は3段階に専門分化している。日本にはないインターンシップ、レジデンシー、フェローシップ3つの専門分化だ。これも専門分化の一種である。アメリカでは総合内科医や一般外科医になるためにはレジデンシー後の認定試験に合格しなければならない。つまり、アメリカではこの段階でようやく有資格者としての活動が可能となるのであり、根本的に日本と異なる。

さらに高度な医療行為を行うには、アメリカではそれぞれ「循環器内科専門医」などの資格が必要であり、フェローシップ後の認定試験に合格しなければならない。これも日本とは異なった専門分化です。

日本にもアメリカの専門分化制度に対応する研修はあるのだが、アメリカと比較すると統一的な制度にはなっているとは言えない。

日本でも、アメリカにならって2017年度からの導入予定で新しい専門医制度が厚生労働省で整備が進められているが、日本が専門分化の制度を整備している間にも、アメリカの専門分化は比較にならない速度でどんどん進化しているので、アメリカと日本の専門分化の差はさらに開いていく一方のように思われる。

このような比較での違いは専門分化だけに限らない。日本では問診室に数多くの測定器が並んでいるが、これと比較すると欧米の問診室はオフィスのように医療機器が少ない。これは問診室ですべてを済まそうという日本と比較して、問診は問診室、検査は検査室といった具合に、欧米では診療室事態を専門分化させているからだ。看護師の役割についても同じであり、日本のように何でも屋的な看護師と比較して、欧米では役割が細かく専門分化している。もちろんその資格も1つしかない日本と比較して、いくつにも専門分化されている。このように資格だけでなく、比較してみると様々な点が異なっていることがわかる。

比較からわかる早期導入の必要性 

専門分化は医療の高度化において不可欠な仕組みであり、昔と比較すれは日本でもかなり専門分化が進んではいるが、欧米での速度と比較すると圧倒的な遅れを取っていることを頭に置いておくべきであろう。画像診断や内視鏡技術を中心に高度化する医療と比較して、それを使いこなすには専門の知識と経験の蓄積が必要となるため、専門分化を進めないとついていけない世界になりつつある。この先10年を考えると、現在とは比較にならないほど進歩し、そのレベルについていくために専門分化による選別が進んでいくものと思われる。

今度こそ本当に2018年に導入されるのか。各種関連メディアの速報サイトに目を通しておくべきだろう。

<参考>日本医師会
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