外科への転職で求められるオペ経験の質と実績

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外科は最先端知識を装備した職人

外科医は常にさまざまな競争にさらされているという特殊な条件にある。これはカテーテル治療に代表される医療機器の発達が急速な上、それを使うこなすことが求められるからだ。「やったことがないのでできません」は転職で通用しない。さらには専門分化も急速に進んでいるため、強みを持っていないと転職もできず生き残っていけない時代が見えている。外科医は高い専門性と卓越した技能を持ったまさに職人の世界であり、腕の悪い職人に好条件の転職は回ってこない。

 

開業への道が狭まり転職が重要な外科

外科の個人病院は21世紀に入り急速に減少している。これまで個人病院は世襲制で永らえてきたものの、外科は医療機器の急速な発達により、個人病院では十分な設備投資ができなくなり、跡を継ぐことが困難になったためである。このように従来の個人病院が減少していく外科において、これから個人で開業するのは非常に困難であり、外科医は少しでも好条件の病院に転職して勤務医として生きていくしか道が無くなりつつある。外科で続けていくつもりであれば、いま転職するかしないかは別にして、早めに転職会社と相談して、将来設計は立てておくべきだろう。体力が尽きてから転職を思い立っても、転職先を探すのでは、当然のことながら良い条件の転職を得ることは困難になってしまう。

 

加速する医療機器の発達

カテーテル手術に代表されるように、医療技術はすさまじい勢いで進化している。この背景にはITの高度化が大きな要因となっている。半導体技術の進歩により、人体に入れる超小型のカメラが登場し、画像処理システムも急速に進歩した。MRIに代表される画像診断も現在では当たり前のように使われているが、年度ごとの医療雑誌を見ればわかるように、5年前は限られた事例でしかなかった最先端技術が今では一般的に使われ、使えることが当たり前として転職条件に入っているものもある。つまり、それだけ先行者利益が得られる期間が短くなっており、その一方で、転職では習得していて当たり前の技術が消化しきれないほど増えて行っているのである。転職を考える上では、なんでもできることが有利に思われがちだが、中途半端に広く知っているより、限られた分野で最先端の医療機器を使いこなせることの方が転職には有利であることを知っておいて方が良いだろう。

 

外科医の転職では経験の質が求められる

ネットワークの発達により、有名外科医のオペ状況がカンファレンスなどでリアルタイムで見ることができるようになったが、外科医に求められるのは、知識だけではなく、実績である。いくら多くの知識を持っていても、オペは手先の仕事であり、癒着した血管を剥離する際の力加減など、見たり聞いたりしただけでは実践できないことが多い。このため、外科医の転職ではオペ経験の実績が重視される。もちろん、いくら術例をこなしていようが、転職で求められるのは容易な術例ではなく、難易度の高い術例の積み重ねだ。つまり外科の転職では、経験の量だけでなく質も求められるのである。転職を考える外科医は、自分の実績を振り返り、価値ある経験を積み上げているかどうかを見直すべきだろう。そのうえで、必要であれば、転職することになっても有利な経験を積み上げることを医師資しておくと良い。

 

将来を見据えた転職

もし転職を思い立ったものの有用な経験を積んでおらず、現在の職場では有用な経験を積める環境にない場合は、経験を積むための転職を考えるべきかもしれない。つまり、将来的な転職に向けたスキルアップのための転職である。冒頭に書いた通り、どこへ転職しようが外科は競争から逃れることができない。俗に言う「腕一本の勝負」の世界である。このまま現在の職場に勤務していても、大した経験を積めないようであれば、経験を積むためと割り切って転職してみるのも一つの手である。目先の転職条件だけを見ず、将来にわたった長い目で転職会社と相談してみると良い将来設計が見えてくるのではないだろうか。

<参考>日本医師会
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