こころとからだの専門家、心療内科医の転職事情を徹底調査

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こころとからだの治療を担う心療内科医

このストレスフルな現代社会において、人々のニーズはどんどん高まっています。これまで心療内科を単一で掲げる病院は決して多くありませんでしたが、今後はより専門的な分野に枝分かれしながら、拡大していくのは間違いありません。そんな心療内科の転職状況、現在はどのようになっているのでしょうか?

心療内科のおかれる現状

心療内科と精神科はともにメンタルヘルスを扱う診療分野。そのため一般の患者さんからはしばしば「どちらを受診したら良いのかわからない」という声が聞かれます。基本的には精神科が抑うつやイライラ、不安感が強い、パニック症状などの「こころ」の症状を扱い、心療内科ではこころの病気がきっかけになって引き起こされる「からだ」の症状を治療します。具体的には耳鳴りや吐き気、動機、めまいなど、ストレスによる体調不良全般です。しかし実際のところ、心療内科を単一で標榜している病院・クリニックは多くなく、内科や精神科と併設されているところがほとんど。そのため心療内科・精神科とバッサリ切り離すのでなく、どちらも診る医者が多いというのが現状です。

現代はストレス過多な時代だと言われて久しく、それに伴ってメンタル面での不調を訴える声が増え続けています。厚生労働省が実施している『平成22年必要医師数実態調査』によると、常勤の現員医師数は341人とさほど多くありませんが、確実にニーズは高まっており、この傾向は今後も続くでしょう。人が生きていくなかで、「こころ」と「からだ」は切り離して考えることはできません。様々な要因が重なり「こころ」とも「からだ」とも判断のつかないところで不調を訴える人の声が、途絶えることはないでしょう。いまだに「なんとなく、精神科は受診しにくい」というイメージを持つ人もいますが、最近では少しずつ日本でもメンタルヘルスへの理解が進んできています。今後はもっと「こころ」の診療分野は発達していくでしょう。

つまり心療内科は、「一生食いっぱぐれのない診療科」だという見方もできるのです。

心療内科の転職事情

『平成22年必要医師数実態調査』によると、心療内科の常勤医師の求人倍率は1.22倍。全体的な数はまだ少ないながら、高い倍率を示しています。また注目すべきは産業医の求人。病院やクリニックのほかにも、社員のメンタルサポートを目的とした産業医を置いている企業が増えてきています。当直や緊急対応などがないため人気が高く、狙い目の転職先です。非常勤での勤務を募集していることも多く、育児と両立しながらの女性にも働きやすいでしょう。また昨今では、他の診療科から転科を希望する医者も多いようです。この点において転職しやすさはどうでしょうか?

「こころ」を扱う特殊な分野であることから、「転科は難しいのでは?」と考える医者も少なくありませんが、意外や意外、心療内科は他の診療科での経験を活かしやすい分野なのです。というのも、心療内科が専門とするのはあくまでも「こころ」の不調からあらわれる「からだ」の症状。その治療には内科的な知識が欠かせません。一般内科と心療内科を一緒に診ている医者も多いんですよ。では外科の場合はどうでしょう?

2012年に発行された『腰痛診療ガイドライン』によると「腰痛に精神的要因、特にうつ状態が関与している」と記載されており、心因性の腰痛など外科的な症状があわわれる可能性も示唆されています。このようにそれまで培ってきた経験やスキルを活かしつつ、心療内科へ転科する道も拓かれています。

ただし心療内科は他の科目と比べて残業やオンコール対応が少ないなど、比較的医者のQOLを重視した働き方がしやすい傾向があるため、年々転職希望者が増えています。特に「他の科目からの転職可」という条件付きの求人には応募が殺到し、すぐに埋まってしまう傾向が強いです。転科を希望している場合は、求人情報をこまめにチェックする、転職エージェントを活用するなど、他と差をつける工夫が必要になります。

心療内科の年収

リクルートドクターズキャリアによると、心療内科の求人年収でもっとも多いのは「1,400万円~1,600万円未満」で、全体の31.2%ほど。他の転職サイトをザッと見た限りでも、1,000万円~1,500万円くらいの金額で提示されている案件が多い印象を受けました。もっと高額なところでは、北海道の2,000万円という例もあります。医者といえば高給取りというイメージを持たれやすいですが、その実態は診療科目によっても様々です。その中でも心療内科は、比較的安定して高い水準をキープしていると言えるでしょう。非常勤勤務のニーズも多くあります。高い年収を得たいのであればハードに働き、逆にライフスタイルを重視して働きたいのであれば短時間勤務を選択するなど、自分に合った働き方を選べるメリットは大きいです。また精神保健指定医を取得している医者はどこの病院でも欲しいので、交渉次第によっては100万単位で年収額をアップさせることも十分期待できます。逆に精神保健指定医を持っていない医者の場合は希望の金額に至らなかったり、思った以上の激務を強いられたりといったこともあるため、転職先を選ぶ際には特に慎重になるべきでしょう。

いずれにせよ心療内科として長く携わっていくつもりであれば、精神保健指定医の取得はぜひ視野に入れておきたいところですね。

心療内科医の転職では、面接時、どんなことを尋ねられるのか?

心療内科や精神科の場合は専門分野に特化した、タイプよりも、「こころ」に関する症状全般を扱うゼネラルなタイプの医者が求められる傾向が強いです。このことは、心療内科単一の病院がまだ少ないことからも伺えますね。しかし近年では専門分野ごとに看板を掲げる病院も増えてきました。「パニック障害」「躁うつ病」「適応障害」「睡眠障害」「自閉症」「アルコール中毒」「ひきこもり」「ネット中毒」など、現代病とも言われるような数々の症状が大きく取り沙汰されるようになるにつれ、より専門的な治療を行う医療施設が都心部を中心に増加傾向にあります。専門領域の治療を行う病院での面接においては、特定分野に応じた質問が投げかけられることはまず間違いありません。十分な経験やスキルを有していれば問題ありませんが、そうでなければ事前に入念な調査をして面接に臨みましょう。

また心療内科の場合、もっとも重視されると言っても過言ではないのが「医者自身の人柄」です。単純なケガや病気を治療するのとはワケが違いますから、医者と患者との間に信頼関係を築けるか?という点が非常に重要になってきます。信頼関係が成立しなければ、治療に来てもらうことすらままなりません。そういった意味で、

・他人とうまくコミュニケーションが取れるか
・患者に威圧感を与えない雰囲気か

面接時には、そういったところまで見られていると思ってください。

心療内科医の転職先候補、チェックすべき項目は?

転職を検討する際には、何らかの目的があるもの。心療内科医に多いケースとしては、

・精神保健指定医の取得をめざす
・ライフスタイルとの両立を重視した働き方を希望
・より専門的な分野に特化した治療がしたい

こういったものが挙げられます。

精神保健指定医の取得をめざす

医療施設側からのニーズが非常に高いこともあって、精神保健指定医の資格を取得していると転職時にはかなり有利になります。資格の有無によって年収額も大幅に違ってきますし、転職先の選択肢も増えるでしょう。そのため心療内科医としては是が非でも取得しておきたい資格です。

・取得に際して必要な症例を経験できるかどうか
・過去に精神保健指定医を取得した実績があるかどうか

このあたりは特に重点的にチェックしましょう。

ライフスタイルとの両立を重視した働き方を希望

他の診療科と比べると、心療内科には非常勤の医者も多く、ライフスタイルに応じた働き方を選択しやすい傾向にあります。ただし当然ながら働く施設によってもそれは異なるため、「プライベートを重視するために心療内科として転職したのに、今までとまったく変わらないほどの激務だ!」というケースだって起こり得るわけです。そのような失敗を防ぐためにも、転職先のリサーチは十分に行っておきましょう。

・当直の回数はどれくらいか
・他のスタッフの働き方はどうか

など、求人要項に載っている情報だけでは見えてこない、その現場の風土もよく知っておきたいところですね。個人でそういった情報をつかむのはなかなか難しいため、転職エージェントを活用するのが効率的です。

より専門的な分野に特化した治療がしたい

心療内科では精神科、一般内科で扱うような専門外の症状まで幅広く診ることを求められる傾向が強いですが、その一方で特定の専門分野に特化した病院も増えてきています。とは言えまだ数としては多くなく、都心部に偏っているのが現状です。地方在住の医者の場合は「広く診る」ことを求められるケースが大半でしょう。もしより専門的な分野に特化したいと考える場合は、病院の方針をしっかりと調査したうえで決めるべきです。自身が今後どういった治療に関わっていきたいか、ビジョンを明確に定めたうえで転職活動に臨みましょう。面接時には自身の希望をしっかりと伝えることで、いざ働き始めてからの齟齬も少なくて済むはずです。

おわりに

心療内科や精神科といった「こころ」の症状を扱う医療分野について、日本では長らく理解が追いついていませんでした。しかし近年、ストレスによる体調不良を訴える声が大きくなってきたにつれ、少しずつですがこころとからだの密接な関わりに関心が高まってきています。心療内科の産業医を採用する企業も増えてきています。それだけ人々が心のケアを望んでいるということでもあり、今後ますます心療内科医の求人募集は増えていくでしょう。

人が生きている限りこころはなくならず、こころに関する様々な問題もまたなくならないのです。あなたがこころとからだの専門家として、よりイキイキと働ける職場に巡り会えることを祈っています。

<参考>日本医師会
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