テレビドラマでもよく取り上げられる外科医。派手な手術を行うというイメージが強く、普通に暮らしている分にはあまりお世話になることはない、と思われがちな存在です。しかし実際には外科医の数は非常に多く、一般の人が思っているよりもずっと身近な存在。今回はそんな外科医の転職事情についてお伝えします。
一般外科とは
外科といえば整形外科であったり脳神経外科であったり、内科と同様に専門分野ごとに細分化されているのが特徴です。一般外科で扱うのは、そうした専門外科以外の分野全般であることがほとんど。
部位ごとに細かく窓口が分かれていないような中~小規模の病院であれば、一般外科がより幅広い領域への対応を行うこともあります。このように、一般外科にははっきりとした定義はありません。
一般的には「消化器・一般外科」という診療科目が設置されていることが多いようです。これは、一般外科が主に腹部(消化器)を中心に扱うことから。
たとえば杏林大学医学部附属病院(院長:岩下 光利 所在地:東京都三鷹市新川6−20−2 電話番号:0422-47-5511)では、「消化器・一般外科」の中でも上部消化管・下部消化管・内視鏡外科・腹壁疾患などのグループに分かれて診療を行っているとしています。
一般外科と整形外科では、切創や挫創、打撲や捻挫などについてはどちらでも取り扱うことから、しばしば「違いがよくわからない」と思われる方もいるようですが、もっとも大きな違いといえばやはり腹部の外傷です。
腹部の外傷は内臓の損傷につながっているケースも考えられるため、緊急度が著しく高いという特徴があります。そういった症状への対応については一般外科で対応します。
外科の転職動向
厚生労働省が平成22年に実施した「必要医師数実態調査」のデータを見てみましょう。
これによると、外科の現員医師数は15,202人。トップの内科医27,558人に次いで2位となっています。ちなみに3位は整形外科医の12,373人。いかに外科医の数が多く、需要の大きい診療科目であるかということがわかりますね。
では次に、必要医師数の方を見ていきます。現員医師数でもトップだった内科医は必要医師数の方でも同じく第1位となっており3,976人、2位は整形外科の1,963人です。外科医はといえば、産婦人科、小児科に次いで第5位の1,314人となっています。
このことからわかるのは、一定数以上の求人はあるものの、募集が殺到するような環境・待遇が揃っているところへの転職は容易ではないということです。
最先端の設備を持つ施設で、より専門に特化した分野でのスキルを磨きたい、年収額をアップさせたい、プライベートを重視できる働き方を希望する……それぞれが転職に望む条件はまちまちでしょうが、いずれにせよただなんとなく転職活動を始めて、なんとなく応募していれば良いところに決まるだろうという甘い考えでは難しいでしょう。
自身の経験・スキルなどについて棚卸しをし、今後どのような働き方を希望するか、転職にあたって妥協できないポイントは何か、そういったことを一度しっかり見つめ直すことが、転職を成功させるカギとなります。
外科の年収
ここでは、外科医の年収について見ていきましょう。医療に特化した転職サイトであるリクルートドクターズキャリアのデータを参考にしています。
年齢別
30代~50代までの年収額は、以下のようになっています。
【30代】
600万円未満・・・14%
600~1,000万円未満・・・14%
1,000~1,400万円未満・・・43%
1,400~2,000万円未満・・・29%
【40代】
600~1,000万円未満・・・29%
1,000~1,400万円未満・・・14%
1,400~2,000万円未満・・・36%
2,000万円以上・・・21%
【50代】
600~1,000万円未満・・・14%
1,000~1,400万円未満・・・24%
1,400~2,000万円未満・・・38%
2,000万円以上・・・24%
データによると、外科医の年収額は年齢が上がるとともに上がっています。
30代ではゼロだった「2,000万円以上」の層が、40代では21%、50代では24%と右肩上がりです。2,000万円未満の層についても、年齢が上がるにつれて底上げされていく傾向が見られます。
一方で50代でも「1,000万円未満」と答えた医者が一定数いるように、同じ外科医であってもかなり年収にバラつきがあることもわかります。
単純に「年齢が高い=年収が高い」という等式が成立するのではなく、医者自身のスキル、もしくは働く環境によって収入差が大きく開くということでしょう。
地域別
地域によっても得られる収入に差があることがわかります。全体の3割ほどが「2,000万円以上」の収入を得ていると答えたのが中部(33%)、中国・四国(33%)、関東(27%)。それに対して北海道・東北では9%にとどまっており、関西、九州・沖縄に至ってはゼロです。
外科医で高い収入を得るには、ある程度設備の整った病院で高度なスキルを要する手術を行うのが近道となります。そういった環境はどうしても大都市圏に集中するため、高収入を得ようとするなら地方より都市部での転職が狙い目でしょう。
しかし都市部では、それだけ競争が激しいということも忘れてはいけません。現に年収2,000万円以上を得ている医者が27%いる関東では、7%もの医者が年収600万円未満にとどまっていると答えているのです。
もしあなたが、多くの医者が群雄割拠する地域で埋もれない自信とスキルを持つ医者であれば、きっと望む収入を得ることができるでしょう。
医療施設別
大学病院・国公立病院と、民間病院との収入を比較してみましょう。
【大学病院・国公立病院】
600万円未満・・・6%
600~1,000万円未満・・・18%
1,000~1,400万円未満・・・18%
1,400~2,000万円未満・・・41%
2,000万円以上・・・18%
【民間病院】
600万円未満・・・0%
600~1,000万円未満・・・18%
1,000~1,400万円未満・・・25%
1,400~2,000万円未満・・・36%
2,000万円以上・・・21%
いかがでしょうか。
民間病院では「600万円未満」の割合がゼロであったり、「1,400万円以上」の年収を得ているのは大学病院・国公立病院の方が多かったりという若干の違いは見られるものの、他の診療科目と比べると施設による収入差がそれほど見られないというのが特徴です。
それよりもやはり、ここでも注目すべきは年収額のバラつき。どちらの病院にしても幅広い年収層の医者が存在しています。外科医にとっては「どこで働くか」より「どんなスキルを持っているか」の方が、より重要だと言えるでしょう。
転職に何を望む?
外科専門医・サブスペシャリティの取得をめざす
外科医としての経験が浅く、専門医やサブスペシャリティの資格取得をめざす場合、
・十分な症例数が積めるか
・教育や指導制度が整備されているか
こういった点を重視して転職先を選びます。一見症例数が豊富なようでも、医者の人数が多く一人あたりに割り当てられる数が少ないといった例もあるため、事前の情報収集が欠かせません。
また中小規模の病院では指導にあたる先生がいない、設備が整っていない、症例数が集まらないといったデメリットもあるため、比較的規模の大きな病院が狙い目です。
とはいえ症例数が多い&指導制度が整っているような病院は人気も高く、募集が出てもすぐに埋まってしまうこともしばしば。日頃からアンテナを張っておくことが必要です。
プライベートとの両立をめざす
外科医といえばハードワークで、プライベートは二の次……という医者が多いのが実際のところ。とはいえそんな生活に疲れてしまった、家族との時間を大事にしたい、事情によりフルタイムの勤務は難しいなど、さまざまな事情を抱える人向けの求人もあります。
・定時手術のみを担当し、決まった時間にあがれる
・人員が充足しており、フォロー体制も整っているのでほとんど残業が発生しない
消化管穿孔や脾臓損傷といった緊急手術を行わない、またフォロー体制の整った病院を選ぶなどの対策を取れば、一般的にハードワークとされる外科であっても柔軟な働き方が可能になります。
募集内容には書かれていなくとも当直やオンコールを免除してもらっている医者がいることもあるので、面接時には自身の希望や事情をきちんと伝え、先方に理解してもらうことが必要です。
長く現場で働くためのキャリアチェンジ
「医者として長く現場で活躍したい」という希望を持つ外科医に意外にも多いのが、内科医へのキャリアチェンジという道。
一般的に外科医といえば手術のイメージが強いですが、実際のところは全身管理を求められるゼネラルな立ち位置にあります。そのため内科へ転科しても活躍している外科医は多く、より広いフィールドで働く可能性が広がっています。
・医者として現場第一線でできるだけ長く働きたい
・いくつになっても新しいことに挑戦したい
転科によるキャリアチェンジは、こういった人に特におすすめです。
外科医として培ったスキルは内科領域でも十分に活かすことができます。褥瘡処置や胃ろう造設技術などは高齢者が多い診療現場で重宝されますし、訪問介護でも外科医のゼネラルなスキルが役立ちます。
おわりに
「外科といえば手術であり、はっきりと結果がわかるのでやりがいがある」という医者も少なくありません。医者の中でも花形的な存在といったら語弊があるでしょうか。その分年収額も高く、より高度で専門的な技術を身につけることによってさらなるステップアップも望めます。
一方で医者によって年収差に開きがあったり、条件の良い医療施設には応募が殺到するなど、医者不足の世の中とはいえ一筋縄ではいかないのが外科医の転職。自身の経験やスキル、そしてこれからの働き方などをしっかりと見据えた転職プランを練りましょう。
外科医としてより専門性を求めるだけでなく、培ったスキルを他のフィールドで活かせるということも心に留めておくと、より転職活動に広がりが出てきます。
<参考>日本医師会
尾身さんを応援しています。
尾身茂:https://www.instagram.com/omi.shigeru/?hl=ja
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